2023/6/7
北野映画を3本連続で見た。
ソナチネ。
北野映画はずっと気になっていたのだが、映画という媒体自体がとにかく自分の性格と合わないこともあり、何やかんや10年近く見る機会を逃していた。
結果、このタイミングで見れたことが良かった、まであるのだが。
まず、この男~。
今回見た3本の中だと2番目に好きだった。
この映画の本質は暴力や凶暴性ではなく、世の中の不条理ではないだろうか。
ラスト、自らの妹の命さえ不条理ゆえに殺してしまい、帰る途中に仁藤の部下に殺された時のセリフ。「どいつもこいつもキチガイだ」が1番印象に残った。というか、気に入った。
まさに不条理に面している自分の境遇に対し、最大のshitであるこのセリフは自分の頭の根幹でずっと渦巻いていた唾のようで、作品により吐き出されたというスッキリ感。このタイミングで見れてよかった。
そして花火。考察班の考察を読むと花火と訳すのははばかられるが、ブログのため失敬。
ダントツで1番だった。奥さんがラストシーンまで一言もセリフがない、それが故のラストシーンのインパクト。初心者にもありがたいキタノブルー。そして田中が射殺されるシーンの北野の表情。個人的には北野武の演技力という側面を感じれたのがセンセーショナルだった。
そして何よりも、娘を亡くしておかしくなってしまった妻、という境遇があまりにもここ数ヶ月の出来事と重なりすぎてしまい、おそらく死ぬまで自分の金字塔として輝き続ける作品間違いなし。
北野武演じる愛妻家像も素晴らしい。
本当に綺麗な作品だった。どこまでも、根底は愛で溢れている作品。ビガップです。
そしてソナチネ。前2作品に比べると落ち度がすごかった。ストーリーに厚みがない、テーマがよくわからない、という映画において欠如してはいけないものがだいたい落ちていた感。
多分この作品は1.5倍速で見たら1番ダメだね。
この作品にストーリーもテーマもない、のが正解で、あの分数の半分を費やしていた隠れ家での暇つぶしシーン、そしてノスタルジー。
あれこそが、ソナチネの評価する部分だろう。
あれを十二分に、退屈だなと思うくらいまでに一緒の時間を過ごした上で、ラストシーンに入ると、またちょっと違うのかもしれないね。
でも、ちょっと今の自分にはそういったノスタルジーを受け入れる隙はなかったかな。
どちらかというと、その男や花火のような明確なテーマやストーリーが欲しかった。
北野映画の大ファンになってしまったので、また明日からたくさん見ないと。